「高額療養費」とは、1カ月に一定以上の医療費がかかった場合、上限額を超えた分は国からお金が戻ってくるという、ありがたい制度です。
一般的なサラリーマンがこれを使う場合、所属している協会けんぽや組合等の支部に「高額療養費支給申請書」を提出します。
が、多くは会社の庶務などを通じて手続き、申請する事が多いようです。
(なので、使いたい人は、まずは会社に聞いてみましょう)
国保の場合は、該当となった月の3カ月後を目安に、市役所などから申請書が送られてきますので、記入して、返送します。
予め手術などが決まっていて、高額の医療費がかかる事が予測される場合、先に協会けんぽなどから「限度額適用認定証」を取り寄せて医療機関に提出しておけば、退院時に支払う金額は上限額で済むようになります。
手術などがある時は、病院の窓口でこの事を教えてくれる場合もあります。
詳しくは協会けんぽや厚労省のHPでご覧いただくとして、この自己負担の上限額は8万円とよく聞きますが、実は皆が皆8万円ではありません。
年収が770万位になると、上限額はなんと、倍の16万強となります。
『上限額8万だろう。』とタカを括ってると、痛い目をみますよ。
収入によっては結構な金額を払う事になるので、ご注意ください。
参考
医療費のひと月当たりの上限額は収入により5段階に分かれている
こちらの表をご覧ください。
医療費の自己負担額の上限は、収入によって細かく分かれています。
70歳以上の場合と70歳未満の場合は少し違いますが、今回は70歳未満をモデルとして記事にしています。
上の表は 分かりやすいように年収表記されていますが、実際に適用となるのは「標準報酬月額」(国保の場合は「旧但し書き所得」)となります。
「標準報酬月額」とは、社会保険料の算定基礎となる数字で、4月から6月までの3か月間の給与の支給額の平均に基づいて計算され、適用となるのはその年の9月からです。
9月くらいに会社から決定通知が貰えますよね、私いつも捨てちゃうけど・・。
算定に含まれる給与には、通勤手当や残業代などが含まれるので、4月から6月まで働き過ぎちゃうと、1年間少し高い金額に適用される社会保険料を納める事になったりします。
というのは余談ですが、標準報酬月額は給与明細に載っていると思うので、気になる人は確認してみてください。
例:入院、手術により、100万円の医療費がかかった場合
それでは1例として、入院・手術で100万円かかったと想定します。
(標準報酬月額30万・同月に入退院・手術を全て済ませるとする)
通常は保険適用で3割負担となり、30万円を負担する事になります。
でも、高額療養費制度を使えば、負担額は上限額のみとなります。
上の式に当てはめると・・・
80,100+(1,000,000-267,000)×1%
=87,430円
この人の負担額は、87,430円という事になります。
尚、高額療養費には、差額ベッド代や食費、先進医療費などは含まれないのでご注意ください。
ここで、したり顔で、差額ベッド代や先進医療がついている医療保険をおススメしてくるFPの出番ですが、今日はそういう記事ではないのでサラッと流します。
過去12カ月で3回以上上限額に達した場合は、負担がさらに軽減される医療費の多数回該当について
高額医療費制度には、さらにお医者さんにかかった場合の負担を軽減する仕組みもあります。
「多数回該当」といいます。
過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から「多数回」該当とな
り、上限額が下がります。
下の表が、多数回該当の金額です。
年収370万以上の人は、4回目からは半額くらいになるイメージですね。
自己負担額8万円と16万じゃかなり違うでしょ!
さて、話を戻しますが、この「高額療養費」の自己負担の限度額は、年収によって分かれているんですが、年収約770万円以上になると、自己負担額が8万円から17万位に一気に跳ね上がります。
(概算。端数は省略)
もう一度、表を見てみましょう。
年収770万を超えると、上限額がガバッと上がってますね?
「標準報酬月額」は、年4回以上もらえる場合を除き、賞与は含まれません。
標準報酬月額53万円となると、かなりの高収入に見えますが、もしもボーナスが出ない会社なら、年収640万位から自己負担額が上がる計算になります。
逆に、まだ新入社員で標準報酬額が20万円位の場合は、自己負担額は8万円ではなく6万弱となりますので、まぁ、それなりに考えて作られているのでしょう。
年収700万以上あるなら、病院の16万位余裕でしょとか言われそうですが、年収が上がればそれなりに社会保険料や税金が高いですから、家族がいればそれほど余裕があるわけではありません。
それに、サラリーマンは節税のバリエーションも少ないです。
2019年度から開始された、私立高校の無償化だって外れます。
年収700万世代となると、出ていくのはお金ばかり
世の中には、20代から年収1000万以上という方もいらっしゃいますが、大体普通に会社員をやってきて、年収700万の年齢と言うと、子供に最高にお金がかかる世代です。
また、ぼちぼち体にほころびができてくる年代でもあります。
中には会社の福利厚生で、医療費はタダという所もあるかもしれません。
(10年くらい前はあったけど、今はどうかなぁ・・?)
所属している健康保険の種類で、もっとたくさん医療費が戻ってくるところもあると思います。
なので、民間の医療保険は必要ないと言う方も世の中にはたくさんいらっしゃいます。
民間の医療保険は、普通に健康な生活をしていれば、貰う金額より払った金額の方が多くなるようにできています。
保険ですからね、そりゃそうだ。
なので、いざという時のために保険をかけずに貯めておくのか、いざという時のために民間保険をかけておくのかは、意見が分かれる所でもあります。
でも、何となく、上限額も知らずに『高額療養費制度があるから大丈夫』と考えている人は、いざという時にいくらくらい必要になるか、考えておいた方がいいと思います。
医療保険はバカバカしいから入ってないという人も、周りにいますよ実際。
でもね、病院用によけておいた貯金だって、病院代に使えますか?って話ですよ。
我が家は医療保険に結構入っています。現在損失数百万
最後に、うちの場合です。
うちの場合ですか??
数年前に見直しをして、結構保険をリストラしたけど、結構入ってますよ。
まずは、夫に何かあっても、子供2人が大学を卒業できるくらい。
それから、一番お金が必要な時に、心配なく治療ができるくらい。
それから、退職金に+αできる分。
掛け捨てがほとんどですが、少しだけ貯蓄系も入っています。
でも、数年前の保険見直し時にいくつか解約しています。
老後のお金より、今困ってるんだよぅ!という事で。
幸か不幸か、この年齢までお互い大病もせず元気でやっているので、医療保険に払ってきた数百万はドブに捨ててますけどね。
さぁ、我が家は数百万をドブに捨てていますが、皆さんはどうなさいますか??
それではまた。
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