こんにちは、かたせうみです。
「反復更新されて、通算5年を超えた場合、労働者からの申し出により、無期雇用転換に移行することが出来て、会社は申し出を断ることが出来ない。」
という、微妙な法令が平成25年に出来ました。
有期契約者を必ず無期雇用にしなくてはならないわけではありません。
従業員の申し出により初めて有効となります。
この申し出の権利を無期転換申込権といいます。 従業員は、反復更新を経て、5年経過すれば、この権利を行使することが出来ます。
法令施行後5年を迎え、そろそろ無期雇用本格化。
という事で、漫画のように気の毒な退職をする方が出てくることが予測されます。
暫定的(だと思います)ですが、退職時の雇用保険の取り扱いに救済がなされたようなので、記事にします。
記事の最後に、雇用保険についての過去記事をまとめてありますので、参考にしてください。
しかし、この法律、漫画のような事は想定しなかったんですかね。
それとも、5年前に既に織り込み済みで法令施行???
なんだか本末転倒です。
雇用期間満了で辞める時の雇用保険の扱い
一般的に、契約更新の上限が決まっていたり、更新がない契約の「期間の満了」で退職した場合、給付制限はありません。 しかし、保険を貰える日数は『自己都合』退職した時と同じ日数となります。
下図をご覧ください。
①
この表は、一般的な期間満了・定年退職・自己都合退職の場合に給付される保険の日数です。
1年以上のブランクがなければ、保険をかけていた期間は転職していても通算されます。
そして、下の表は、解雇や雇止め、その他会社都合等で辞めなければいけなかった場合の給付日数となります。
②
※補足2 受給資格に係る離職日が平成29年3月31日以前の場合の日数
ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数
年齢や、保険をかけていた期間によって変わりますが、一般的な期間満了に比べて、かなり優遇されています。
【平成25年4月1日以降雇用契約の更新回数に上限ができたり、上限が引き下げられたりしていた場合】
契約更新の上限に達して離職しなければならなくなった時は、本来参照されるべき①の表の日数ではなく、②の表が参照されるようです。
これには大きな注意点があります。
平成25年4月1日以前から、更新の上限が定められていた場合は対象にならない。
という事です。
法令に関係なく、もともと契約更新に上限を設けていた会社を、期間満了で辞める場合は、救済措置はありません。
期間満了で退職された方は、ハローワークの窓口で相談してみて下さい。
【おまけ】有期契約期間満了に多いパターン3つ
所で、更新上限のない有期契約の場合、反復更新を続けて3年以上経つと、期間満了で辞めた時に、雇用保険の給付日数が優遇されます。
これ。
詳しく説明します。 雇用期間の満了で退職する場合、多くは以下の3パターン。 図にしてみましたので、ご覧下さい。
【期間満了パターン1】あらかじめ、更新の上限が決まっている
一般的な期間満了パターンです。
雇用保険の日数は自己都合と同じで、給付制限はありません。 がしかし、優遇もありません。
産休代替、臨時的職員、正社員は多く抱えられないけど人出は欲しい大手工場等、労務管理に聡い大企業などで利用されています。
就業規則に則った契約が多いので、機会があったら確認するのもいいかも。
解雇事由にひっからないよう、うまくやっています。
初めから更新の上限が決まっていて、上限後また働いて欲しい時には、とりあえず1回辞めて、契約者をリセットする事も。
【期間満了パターン2】次回は更新できないことを、直前の更新時に伝えられる。
まぁ、色々あって、「この更新で最後だよ。」と伝えられる場合です。
有期契約は、本来はこの形で辞めてもらう事が望ましい・・・、というか、決まりです。
半年~年度更新が多いので、就職活動が出来る時間を与えてもらえることは、ある意味ありがたいでしょうか。
【期間満了パターン3】更新時に突然「更新しない」旨伝えられる。3年以上なら解雇
これは、あんまりな雇止め。
更新を繰り返して3年以上経つと、雇用保険の給付日数が優遇されます。
でも、2と3は同じ保険の給付日数。
どっちで辞めても、雇用保険をもらえる日数は同じなのに、区別されているのは何ででしょう??
上記の2つは、保険の日数などが同じなので、労働者にとっては同じように見えますが、実は会社側の扱いが違うのです。
向かって左は、会社にとっては 「期間満了」退職扱いとなり、右側の雇止めは「解雇」となるのです。
解雇者をあまり出したくない会社は多いようですね。
世間的な評価もありますし、会社が助成金を申請していた場合、返還しなければいけなかったり、申請できなくなることもあるからです。
余談ですが、上記のような状況で、労働者側が直前に、急に「更新しません!」となった場合には、期間満了ではなくて「自己都合退職」となりますので、ご注意ください。
また、契約期間の中途でやめる場合も、当然ながら「自己都合」です。
期間満了で退職したかったら、最後に更新するときに「次は更新しない」旨伝えることが必要です。
最後に
この記事は以上です。
本当はね、社長の一存で勝手に雇用契約に上限を設けることはできないんですよ。
有期契約の場合は、契約中は雇用が保証されるという事ですから、契約途中に雇用の打ち切りもできません。
随時雇用の調整をしなければいけない工場や、欠員代替えは別として、普通の会社なら3年以上いれば既に立派な人材なんだから、無期雇用でいいんですよ。
有期契約にしておけば、 いつでも辞めてもらえると都合よく解釈している会社多すぎです
解雇できなくなるって言ったって、いざとなれば正社員だって解雇するんだから。
簡単に人を切れるようにしておきながら『すぐ辞められても困る。』って。
人を大事にしない会社は、誰も育たないから苦しいんですよ?
と、いうわけで、一方的な契約条件の変更は訴訟を起こせば撤回させることも可能だと思いますが、上の漫画みたいに訳のわからないことする会社さんは、とっとと退社してさっさと転職して再就職手当をもらった方がいいですよ。
今なら沢山もらえるんだから。
かたせうみでした。
以下に、雇用保険の記事をまとめましたので、よかったら読んでみて下さい。
読んでいただき、ありがとうございました。
雇用保険記事まとめ
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【雇用保険、日額と給付日数】仕事を辞めたら、ハローワークへとりあえず行っておこう③ – 人生半分過ぎたらしいので、色々やってみるブログ
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