こんにちは。
先日、10年近く持っていた投資信託を売却しました。
「ダイワ・グローバルREITオープン~世界の街並み~」という、世界の不動産に投資するタイプの投資信託で、分配金が毎月出るものです。
俗に「リート」とか呼ばれるやつですね。
「世界の街並み」なんて愛称つきで、その昔は投資雑誌でもおススメに載るくらいの派手めなファンドだったのですが、今は本当人気ないです。
ファンド自体は無期限なので、償還されたわけでもなく、分配金もここ数年はずっと普通分配だったので、特に売る理由も無かったのですが、私は結局利益を確定する事にしたのです。
「グローバルリートオープン」の投資結果と経緯
一度買ったらほぼ放置。
買ったばかりの時はマメにチェックもするけれど、結局飽きて、証券口座のマイページにもログインすらしない日々が続く私のスタイル。
取り敢えず、マイナスではないし、銀行預金よりはマシかという感じで、ろくに報告書もチェックしないのですが、ある日、気が付いたのです。
以前は50円(いい時で100円)だった分配金が、気づけはずっと10円になってしまっていた事を・・。
う~ん、分配金を再投資していたから順調に殖えていると思っていたけど、ここはひとつ、乗り換えてみるかな・・。
と、よこしまな考え・・。
という事で、「ダイワ・グローバルリートオープン」を、元手320,000円から分配金を再投資し、10年近く持ち続けて得られた結果がこちら。
なんと・・!
しょぼいと言いながらも、投資金額320,000円が、801,582円に!!
分配金再投資の複利効果で資産は2.5倍に増えていました。
(上部の空欄3つは最近購入したばかりのファンドです。今回は銘柄を伏せさせていただきます。)
特に積立をしていた訳でもなく、買い増しもしていません。
32万で買って、それっきりです。
分配金を再投資型にしておくと、自動的に同じファンドに再投資されます。
イメージとしては、分配金で毎月積み立て投資している感じですね。
普通分配金の場合はそのまま持っている口数が増え、次の分配金は、その増えた口数に対して分配が行われます。
分配金が特別分配金だった場合は元本からの取り崩しとなり、元本は目減りしますが、取り崩したお金は結局再投資されるので、目減りは最小限で済むという事になります。
一見再投資しておけば何のリスクも無いように見えますが、投資信託も元本割れのリスクがある商品です。
この事については、後半チャートと共に歴史を振り返ってみるので、興味のある方はお付き合いください。
ところで、先ほどの画像をもう一度ご覧下さい。
一番下の欄は、大和のグローバルリートと同時期に同じくらいの金額で購入し、やはり分配金を再投資した「高格付け豪ドル債オープン」というファンドです。
同じくらいの金額で、同じ期間持っていたのに、結果が全く違いますね・・。
これも、この間整理してもうないですが、「損切り」とならなかっただけマシだというべきでしょうか・・。
豪ドルには色々やられてます・・。
で、念のため、こちらが取引の報告書です。
え~と、所々消してありますが、こちらが源泉徴収のお知らせです。
分配金を再投資し続けた結果、私が持っている元本は、320,000円から、659,065円に増えたようです。
で、基準価額が上がった事による利益が142,517円。
ここに、税金がかかり、28,951円引かれます。
私は、「売却額ー取得金額」が利益となり、それに税金がかかるのかと思って凄くブルーになっていたのですが、利益の計算方法はそうではなく、単純に元本の額と基準価額の差で計算されるみたいでほっとしました。
今回は税金だけで10万円以上持っていかれるの??!
とか思っていたんですよね・・。
これまで、投資信託と言えば損切りしたものか、NISAで持っていたものしかなかったので、よく知りませんでした。
知らないまま投資を続けるのもアレですが、もう、ラッキーだこれ。
チャートで振り返る投資信託の10年史
と、ここまで利益が出た景気のいい話を書いてきましたが、ダイワのグローバルリートオープンは、2005年から売り出されたファンドです。
今の結果だけ見ると安定して利益を出しているように見えるこのファンドも、10年超えの期間には、色々ありました。
ここで、チャートとともに、2005年からの動きを振り返ってみます。
こちらは、「ダイワグローバルリートオープン~世界の街並み~」の、直近10年のチャートです。
最盛期は2014年の5,232円。
2014年は、たしかNISAが開始された年。
それまでの減税措置が終了し、皆新たな減税(正しくは非課税)措置に、飲めや歌えの大騒ぎって感じです。
しかし、基準価額だけ見れば、2019年(これは、コロナショックの時と思われる)には、最盛期の半額になるという悲しき事態・・。
その後、緩やかに上昇し、今はコロナバブル(?)もあってか、少し戻して基準価額は3,684円となっています。
分配金は、2019年12月からずっと、10円です。
どう見ても『損してるだろ』と言う悲しきチャートではありますが、比較的動きは地味に緩やかにも感じます。
しかし、このファンドが設定されたのは2005年。
ここで、設定来のチャートをご覧ください。
こちらです。
はい、こちら、衝撃の滝つぼが見られる、「ダイワグローバルリートオープン」設定来からのチャートです。
直近10年のチャートは一般的な波のものでしたが、設定来から確認すると、こうなります。
衝撃のナイアガラ・・・。
そうです、ナイアガラの滝つぼは2007年。
サブプライム問題があった年です。
このファンドは、主にアメリカのリート(不動産)に投資するものだったので、もろにあおりを受けている形になっています。
ご存知の通り、サブプライム問題は、この後リーマンショックへとつながり、基準価額は最高値の14,110円を最後に、現在は3000円台で低迷しています。
まぁ、それでも、このファンドは分配金を再投資して粘り強く持っていれば、設定来から2.5倍になった言ってみれば優秀なファンドでもあるのですが、2006年に買って、2008年あたりに損切りした人は、資産が半分以下になっているはずです。
また、分配金を受取型にしていた人も、特別分配金が続いて、苦い思いをしたことでしょう。
私は、幸いにも、リーマンショックで全く殖えない銀行預金に嫌気がさして投資を始めたクチなので、このナイアガラは経験していないのですが、投資信託は買った瞬間からマイナスになるという経験を幾度となくしています。
分配金調整ありとなしのチャートを比べてみる
それでは最後、こちらのチャートをご覧ください。
こちらは、「ダイワアセットマネジメント」が公開している、設定来のチャートです。
黄色い山が、純資産の移り変わり(純資産が少なくなると十分な運用ができなくなるため、その投資信託の運用成績も悪くなると言われる)。
2色の折れ線グラフが、分配金を受取にした場合と再投資にした場合の基準価額の違いを表すグラフです。
濃い青の線が、分配金を再投資にした場合の基準価額の移り変わりです。
基準価額自体は右肩下がりとなり、2009年辺りは何をどうやってもマイナスの元本割れですが、分配金を再投資にして粘った結果持っている口数が増え、その後普通分配が続いたことにより、サブプライム・リーマンショックがあったにもかかわらず、結果的には大きくプラスとなるという曲線を描いています。
2011年に純資産が爆発的に増えていますが、この年は、忘れもしない東日本大震災があった年であり、1ドル75円になった年。
そして、ビンラディン氏が処刑されたり、「アラブの春」と呼ばれる事が起こった年であり、北朝鮮の総書記が逝去した年でもあります。
確か、この辺でオリンピックがブラジルに決まり、ブラジルのファンドが増えたり、ネット銀行の開設ラッシュがあったり、気軽に始められる外貨預金みたいなキャッチコピーが見られるようになったのもこの頃だったと記憶しています。
純資産が増えた要因は分かりかねますが、私もこの辺りで初投資を始めたので、もしかして、私のような人が増えたのも、要因のひとつではあるかもしれないですね。
確かに、1ドル75円と聞いて、「何かしなくちゃ勿体ない!!」とは思いましたから。
しかし、一旦純資産が増えたものの、思うような運用成績とならなかったためか、撤退する人が続出したと思われます。
今日の記事は、結果的に大きくプラスになったファンドの実例を書いていますが、これはあくまでも結果であって、「いつ買ってもマイナス」とか「資産が半分になったまま償還された」という投資信託なんて沢山あります。
実際、今日の記事にもしましたが、同時期に購入し、同期間持っていた「高格付け豪ドル債オープン」は、全くと言っていいほど殖えてません。
いや、マイナスにならなかっただけよかったというべきか・・。
で、結果としては、今回はたまたまのラッキーパンチだったというだけです。
プラスで終えられたのは、ファンドマネージャーのお力の賜物とでも書いておきますか。
結果論ですが、毎月分配型は再投資がおススメ
そんなわけでまとめです。
私は以前、とあるファンドを、お小遣い代わりに分配金を受け取りにして数年運用していました。
買った時期も、ファンドの選定も成績もよくないものでしたが、毎回出される分配金は「特別分配金」。
で、目減りしていく元本。
分配金に関しても、お小遣いにもならなかった位で、そのまま損切りを決めたという、凄く苦い思い出が残っています。
この事は、私の投資への見通しの甘さや勉強不足を如実に表す出来事であり、今でも「高い勉強代」として、心に刻まれている出来事です。
処分したファンドは、ひとつだけではありませんでしたからね。
結局、私が導き出した答えは「分配金は再投資にする」という事。
豪ドル債の方ではあまり結果が出なかったけれど、お陰でマイナスにはならずに済んでいます。
「世界の街並み」に関しては、複利効果が功を奏して大きくプラス。
複利効果というものが、ここまでのものとは思っていませんでした。
毎月分配型の投資信託に数百~数千万円入れ、毎月受け取る分配金をお小遣いとして楽しみにしている方も多いと思いますが、元本が減ったら貯金から切り崩しているのと同じです。
資産形成のことを考えるなら、分配金は再投資にしておいた方がいいと思いますよ。
最後となりますが、投資は自己責任ですが、リスクを理解して余剰資金で投資を始める事はとてもいい事かと思います。
でも、「必ず儲かる」や、「投資しない人は情弱」みたいな発信や『あの人が言っているから大丈夫』とつられてみたり、投資雑誌の人気商品を過信せず、自分の目で見て決めて下さい。
それではまた。