自宅介護の実態と家族の疲弊【実録・母の脳腫瘍3】

自宅介護の実態と家族の疲弊【実録・母の脳腫瘍3】

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こんにちは、かたせうみです。

母の認知症かと思ったら、実は脳腫瘍だった第3回。

「母の手術の時には実家に帰るよ。」という私に、「こっちは介護で大変なんだから、手術の時だけに帰るとか調子こいてないで、帰って来て手伝え!」

と、状況すら詳しく知らされていないのに、いきなり妹から鬼の一撃を喰らい、実家に様子を見に帰った私ですが・・・。

これまでの経緯は、こちら⤵のリンクからご覧頂く事ができます。

何かの検索で辿り着いた方は、是非1からご覧ください。

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第2話

★第3話

★第4話

★第5話

★第6話

★第7話

★第8話

第9話

第10話

第11話

★第12話(最終回)

母の容態は思ったより重症。介護の家族は疲弊していた

てな訳で、年明け休暇を1週間貰い、実家に帰ってきました。

弟情報によると、「手足が上手く動かせない」程度との事でしたが、実態は、思ったより相当悪い。

どうも、左側半分が、まるっきり動かない様子。

しかも、腫瘍の影響か、筋力の低下のせいか、それとも、二つの要因の相乗効果か、身体を一人で起こすことも出来ないし、背もたれなくして一人で座っている事も出来ない。

なので、トイレの自立は無理。

だけど、尿意を伝える事は出来るため、妹とか、弟、稀に甥っ子などが助け起こし、後ろから抱えるようにして、トイレに連れて行っているようだった。

因みに、父親は戦力外。

介護現場でよく使われる、助け起こしの順番ややり方を何度教えても、母の両手を引っ張り起こそうとする。

もちろん、そんな事で力の入らない人間を起こそうなんて土台無理な話だし、第一

そんな事したら腕が抜けるだろうが!!

自分、推理小説大好きなくせして、読んだ事ないのか??

力が入らない人間を動かすのが、どれくらい大変で、どれくらい重いのか(縁起が悪いので書かないが、推理小説で言う所の、力の入らない人間て、俗にいうあれですよ)。

しまいには、「少しは自分で動こうとしないと」とか言い出す始末。

あんた・・、自分も脳梗塞を患った癖に、身体が思うように動かないことについて全く理解してないね・・、わたしゃ信じらんないよ。

更には、頑張って(無謀にも?)母をトイレに連れて行ったものの、2人して転んで、妹に助けを求めた事もあるらしい・・。

怖い・・。

まぁ、父は父で、自分の身体の不調を抱えて頑張ってはいると思うのだが、いかんせん昭和の父親。

この事についてはいずれ書くかもしれないが、昭和の亭主関白なんて絶滅すればいいのだ。

母も、箸の上げ下げもしない父についてはいっつも文句を言っていたわりに

母

ママが、パパを何にもできない人にしちゃったのよ・・。

とか言って、何だかご満悦というか、誇らしげ。

よくわからん。

よく分からんが、この状況でそんなセリフ聞いたらすんごくイラっとするザマス。

もう、今や頭の中がお花畑だから、80になろうとする自分の夫(父の事)に

母

パパも、講習に行って、国家資格を取って頂戴。

(要約:介護が上手になるように、勉強して初任者研修とかの資格を取って欲しい)

とか言っている。

アホか!!!

(余談だけど、初任者研修(昔で言う所のヘルパー2級)は、立派な資格ですが、国家資格ではありません。)

母の状況は分かっているんだけど、こういうのって、もう、絶妙にイラっとする。

大人だからその時はスルーしたけど、書いていると思い出してまたイラっとするな。

それについては、妹も同様の感情をもっていたが、この辺はまた別の機会に。

そんな訳で、母のお下については、本人は尿意を伝える事はできているが、どこの時点で伝えているのかは不明。

それが「小」だった場合、トイレに到着した時にはある程度出ている事がほとんどで、直近まで大人の尿漏れパンツに大きめのパットなどを使用していたようだが、私が帰った時には、既に母はリハビリパンツ(パンツ型のオムツの事)になっていた。

目下、トイレの介助が最も大変な課題

そんなこんなで、今回の介護については、トイレの介助が最も大変だった。

まるきり寝たっきりとか、尿意が分からないという事でもないので、トイレに連れてはいく。

所が、実際は間に合っていないため、下着が汚れているから、その度に足を拭いて、下着を取り替え、ズボンを取り替える。

しかし、自分で立っている事の出来ない大人をお世話をするのは、すごく大変なのだ。

文字で書けば、赤ちゃんのお世話と同じなのだが、身体の大きさが違う。

身もふたもないことを言えば、可愛さが全く違う。

まぁ、可愛さはいいのだけれど、寝たきりではないため、赤ちゃんのおむつ替えとは勝手が違うのだ。

体の動かない人間に、パンツ型のおむつを履かせるのって、意外な苦労。

本格的なオムツのように、テープを外してガバっと替えるというものではないし、便座に座らせてからパンツを脱がせるので大変なのです。

もう、最終的に、脇から破いていたよね。

いっそ、寝かせたままオムツ替えをしたいくらいの気持ちになったが、母の尊厳を守るため、諦めた。

そんな感じで、トイレに連れて行くのだけで精いっぱいなので、トイレには、使用済みのオムツが積んであったりした。

普通は、トイレやその近くにオムツ専用のゴミ箱を設えたり、よく使うものを整理して置いておいたりと、家事導線を考慮して、介護や育児をする者のストレスが最小限になるように工夫したりするものだけど、そんな間もなく母の体調が悪化したものだから、誰もが戸惑い、日々をこなすのに必死で、そんな事まで頭は回っていないようだった。

オムツも、まとめて捨ててはいる様だけど、マメに捨てる事も出来ないほど、家族は疲弊していた。

人間を真っ平らな状態から抱き起こすのは、超大変なんだから、早く介護ベッドが欲しいよ・・。

私は初めて、介護ベッドの有能さを知った。

因みに、母の食欲は変わらずあり、食は結構進むみたいで一安心。

年齢が年齢だから、体力落ちると手術できないよと、医師から言われていたのだ。

浴室には、弟がネットで購入した介護椅子があり、シャワーは弟が行っている様だった。

取り敢えず、各々かなりの負担があり、実家はかなりの惨状だった。

はぁ、男手があってよかったよ・・。

以上の状況から、ひとまず私の仕事は、積み上げられたオムツやゴミなどの小まめな処理や、衛生管理等の、定時に仕事に行かなくても良いからこそできる、余裕作業。

家族の食事の準備と後片付け。

母への食事介助と、弟や妹の手が回らない時の排泄介助、病院への同行や、待ち時間が長い時の代替要員など。

今後の母の予後を考えて、既存のベッドと介護ベッドを入れ替える準備(大掃除のこと)を、妹と協力して行う事などだった。

この大掃除についても、ひと悶着あったのだが、別の機会にするとしよう。

恐怖!母の財布から無限にお金が引き出せる!!

所で、私が実家に帰り、自宅に到着。

母の様子を見にベッドへ赴いた所、母は身体の不便はあったものの、言葉ははっきりしている様であった。

その数日前、「いつ帰ってくるの?」などと電話があり、ちょっとへんてこりんながら普通の会話をした為か、私の感想としては、『意外と頭はハッキリしていて、重症ではないな。』であった。

その様子では、まさか半身がマヒしているとは予想できない雰囲気だった。

全く、あんな恐ろし気なラインを送ってくる割に、母の言葉は達者であった。

しかし、やっぱりちょっと話していると、時系列がめちゃくちゃだし、自分の妄想の中で、一部現実が漂っているような口ぶりで、頓珍漢・・。

例えば、とっくの昔に訪問し、とっくの昔に帰った叔父が母の中ではまだ自宅にいて、弟と飲みに行っているからまだ帰ってこないとか、そんな事を普通に話す。

少し話していれば、この母の言っている事がおかしいと、他の人でも気づく位で、それはまるで生活それ自体に漫画や小説のような、フィクション感が漂っているようでもある。

こういう感じって、あれだよね、向田邦子の小説とか、田辺聖子の小説とかで、読んだ事ある。

サスペンス系で言えば、「アウト(桐野夏生)」とか。

この状況なら、私が犯罪を起こしても、警察から疑いがかけられることはないかもしれん。

私が何を言ってるのか分からない人は、桐野夏生の「アウト」を読んでみよう。

確か、田中美佐子が主演で、ドラマにもなっていた。

ドラマは最悪だったけど。

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何というか、ここで体験した事を、書く人が書けば、直木賞みたいな賞が獲れそうだという事である。

そんな感じで、荒れてすさんだ実家の様子は、私がもっとずっと若い頃、小説で読んだ物語の中のひとつの様だった。

という所で、この辺は、実は長い前置き。

で、頭の中がお花畑になっちゃった母に、「帰って来たよ。」と話しかけた所、いきなり

母

あらあらあら、じゃあ、飛行機大変だったでしょ?

飛行機代、渡さないとね・・。

と、いきなりお財布から5万ほど出し、私に渡そうとする。

買い物に行くと言えば、財布の中にある紙幣全部を渡そうとするし、夫が持たせてくれた、「病気平癒」のお守りを渡そうものなら、「夫君に、お礼しないとね。」とか言いながら、また5万とかすぐ出してくる。

いや、お小遣いは今までも貰った事はあるけれど、こんなにバンバン財布からお金出されたら、怖くてやってらんないよ!

実は、そのちょっと前に、弟からも、「すぐにお財布からお金出してくるから。」とは聞かされていたが、こんな状況だとは、お釈迦様でも分かるまい・・。

こんな状況なので、母の年金と生活費は弟が現在管理しているが、お財布が空なのも可哀そうだと、ちょくちょく母の財布にはお金を補充しているようだ。

もう、私は断るのもめんどくさくなったので、「こんなにいらないよ!」と言いながらも、取り敢えず、気持ちだけと、数万円いただいておいた。

しかし、その後、財布チェックを行った兄弟に知れる所となり、ちょっと大騒ぎになりそうだったので、正直に貰った事を白状しましたとさ。

ここで私は、ボケ老人からは、いくらでもお金が引き出せることを学んだ・・・。

この頃には、母の病状はかなり悪化していて、自分のしている事がよくわかっていない状況のようで、誰かれ構わず電話をしていた。

その一人として、私に先日電話を入れたようだ。

・・・、こわい・・。

特に、溺愛している末っ子長男の弟には、夜中に1時間に1回は電話を入れていたようで(キモイ)、弟は若干閉口していたが、そこは、母の寵愛を一手に引き受けていることを自負していたのかなんだか分からないが、母の電話に付き合い、叱ったり、着信拒否したりはせず、優しく母に寄り添っている様だった。

まったく、いつまで経っても母の前ではいい子ぶりっこな奴だが、普段はよくても、そのストレスがマックスになると、姉である私に謂れのない八つ当たりが来るので、いい加減にして欲しい。

そんな母の行いを、きつく咎めて叱るのは妹の役目。

妹は元々キツイ言い方なんだけど、娘って、母には容赦しないよね。

で、母はたまに泣かされていたらしい。

まぁ、かなりきつい言い方のようで(弟情報)、病気になった母の、親としてのプライドも、さぞかし傷ついて、泣いちゃったんだろう。

でもさ、そんな事が続いたら、さすがに叱るじゃんね。

そんな事もあって、母の携帯の住所録は、以前のものから(多分)かなり削られていた。

実は、一番被っているのは母に一番きつく当たっている妹で、傍目で見れば誰が一番働いているのか分かりそうなもんなんだけど、人は、耳触りよく、優しい人間の方を重用するのだ。

全く、「リア王」か!!!

シェークスピアなんて、まともに読んだ事ないけど、道徳の時間に読んだ気がする。

続く。

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